開催日時
平成31年2月19日(火)16:00〜17:30
開催場所
久保豊二番町ビル 二番町ホール
講師
させぼ四ヶ町商店街協同組合 理事長 竹本 慶三氏
松山市商業振興対策事業委員会では、平成30 年度第2 回人材育成事業研修会を実施しました。
させぼ四ヶ町商店街協同組合の理事長である竹本慶三さんを講師に迎え、「まちを元気にする」をテーマにご講演いただきました。
「日本一元気な商店街」への道
長崎県佐世保市にある「させぼ四ヶ町商店街」で10 数年にわたり理事長を務める竹本さんは、郊外大型商業施設に対抗すべく、アーケードでつながる四ヶ町商店街、三ヶ町商店街、そして百貨店を「さるくシティ403 」と名付け、一体的な活動を推進してきました。
街に賑わいを取り戻すため、1km のアーケードを利用して、大規模な市民参加型イベントを主催。特に100 万個の電球でライトアップする「きらきらフェスティバル」や、約27 万人を集客する「YOSAKOI させぼ祭り」は全国的なイベントに成長しています。
「まちを明るくするにはどうすればいいか…。私たちがイベントを積極的にやっているのは、まちを元気にすることが目的なんです」と竹本さん。
商店街の3つの役割
「今から20 数年前、郊外に大型商業施設がやってきたことで危機感を持った私たちは、『なんとかしないといけない』ということで集まり、商店街とは何か?ということから考え始めました」
そのとき、考えたという商店街の役割は3つ。
①経済的役割 商店としての活動の根本であるモノの売り買い
②社会的役割 人が出合う場所として、人のふれあい、コミュニケーションを生むこと。「大都市では難しいが、人口20 万の佐世保市ならそれが可能」と竹本さん。
③文化的役割 情報発信基地としての役割。商店街に来ればいい情報がつかめる。「いいまちにはいい祭りがある」ことを発信するためにもイベントを開催。
「値段勝負では大規模商業施設など大きな商圏を持つところに太刀打ちできない。だからこそ、社会的、文化的な役割を担うことで勝負に出て、賑わいを創出することが大切なんです」と話されます。
まちに人を集めるため、イベントを開催
「人はどういうところに集まるか」「人を集めるにはどうすればいいか」、そう考えたとき、イベントを開催することでまちに足を運んでもらうイメージが生まれたそう。
「やったからといって売り上げが増えるわけではありませんが、人が集まることでまちに活力が生まれるんです」と竹本さん。
「まちをキラキラさせよう」という発想から生まれた「きらきらフェスティバル」を皮切りに、「YOSAKOI させぼ祭り」、海上自衛隊佐世保基地とのコラボにより海軍カレーの最強決定戦「GC1 グランプリ」、アーケードに設置した50m コースを全力疾走する「ZENRYOKU 50 in YONKACHO 」など、さまざまなイベントを仕掛けてきました。
自助の精神でまちづくり
「きらきらフェスティバル」の開催にあたっては、佐世保市からも補助金が得られ、当初は600万の予算でしたが、イルミネーションをはじめ、サンタ郵便局やログハウス、教会などたくさんのアイデアが出たことで予算は1000 万円に膨らんだそう。当然ながら予算を削るように言われたといいますが、竹本さんは、「商売人なら、600 万を1000 万にする方法を考えよう」と、協賛金を募ることに。
「まちの顔である四ヶ町を守るため、企業応援団になってください」と直接お願いしてまわり、その結果470 万を集めることができたそう。
さらに、「あなたの応援でライトがつきます」と市民スポンサーを募る「きらきら応援団」も行っており、こちらは一口1,000 円。協力いただいた方には「きらフェスオリジナルバッジ」をプレゼントしています。毎年デザインが異なるバッジのコレクションを楽しんでいる市民の方々も多いそう。
「イベントをする上で大切なのは、市民の皆様に関わってもらうこと。これが非常に重要です。回数を重ねるにつれさまざまな出会いから取り組みが生まれ、当初は600 万円だったのが、最終的に1900 万の事業になりました」と話されます。
イベント成功の一番の要因は会議にあり
「単なる売り出しのイベントしかやったことがなかったが、きらきらフェスティバルを通じて『人の力で人を集め、人を感動させることができる』ことに気づいた」という竹本さん。
その成功の一番の要因は、会議のやり方だと言います。
「みんな商売をしているから昼間はなかなか集まらない。かといって夜は夜で付き合いの飲み会で忙しい。ならば、朝やろうということになりました。店を開ける前の7 時から9 時まで、朝食バイキングを食べながらの会議にしたんです」
さらに、参加者も商店街という枠を外し、ライトアップに関することなら電気屋さん、宣伝が足りないなら記者やテレビ局など、商店街メンバーが知り合いを呼べる、自由参加の会議としました。「あくまでも決議は理事会。ここは決定の場ではなくアイデアを出す場所」とすることで、意見が活発に出るようになったそう。
そのなかで、一人のメンバーが持ってきた北海道のよさこいソーラン祭りのビデオをきっかけに、「YOSAKOI させぼ祭り」が誕生したのです。
まちが人を育て、人がまちを育てる
「まちにはモノをつくる人、売る人、運ぶ人がいて、そこにコミュニケーションが生まれる。まさに社会教育の場所であり、出会いの場所でもあります」と竹本さん。イベントを続ける理由もそこにあると言います。
そして、こうした取り組みを行うなかで大切にしているのは「自助・互助・公助」の精神。国や市に頼るのではなく、まずは自分たちが楽しみ、市民を巻き込んで賑わいを創出する「市民参加型」のまちづくりを推進しています。
「一番大切なのは自分の店。自分の店が元気であるためには町内が元気であることが大切。そのためには商店街、そして佐世保が元気になることが大切。そんなふうに、一生懸命楽しみながら、まちづくりをやっていきたいと考えています」と笑顔で締めくくっていただきました。
講師プロフィール
竹本 慶三氏
させぼ四ヶ町商店街協同組合 理事長
大学卒業後、6 年間の修業を経て家業(ハンドバッグ・カバン小売)を継ぐべく(有)タケモトに入社。平成7 年、同会社代表取締役に就任。
平成15 年、させぼ四ヶ町商店街協同組合理事長に就任。併せて、佐世保市商店街連合会会長、長崎県商店街振興組合連合会副会長等を務める。
させぼ四ヶ町商店街を「日本一元気な商店街」と言われるまでに成長させた立役者として、全国でまちづくりに関する講演会を精力的に行っている。