リアルな店舗だからこそできることとは?
今やネットで買えないものはない時代。
では、リアルなお店は、今後どうやって生き残っていけばいいのでしょうか?
「お店に来る理由があるお店は生き残る」。
そのキーワードは、「ヒト・モノ・ウツワ」だと寺田氏。
リアルな店舗とネットの違いは体感。店舗では五感をフルに使って商品を感じられますが、ネットでは視覚と聴覚に限られます。
平面的なネットショップとは違い、お店は立体的な空間のなかで、手にとって商品を試すことができ、雰囲気やライブ感のある体験を楽しむことができる。
「感情をキーワードとして、リアルな店舗にしかできない、そこを生かす必要があります」と語気を強めます。
お店のキーコンセプトの組み立て方
次に、具体的なお店づくりのヒントを教えていただきました。
何を売るか?
専門化の傾向が避けられない現状において、売るものは絞ったほうが効率が上がる。
商品管理と在庫管理を見直し、商品ラインナップを変えるだけで売り上げが上がる場合もある。
誰に売るか?
誰に何を売るか。ターゲットと商品、どちらかを絞ることで専門店としてアピールし、お客様の記憶に残るお店にしていくことが重要。
どのように売るか?
販売システムと販路を一通りの見方だけでなく、多方面から考えることが求められる。
例えば飲食店の場合、イートイン、テイクアウト、出前・デリバリー、ケータリングと4通りの販売システムが考えられる。
いつ・どこで・誰が・なぜ・いくらで
これらが全て明確なお店は流行る!
同じもので同じ値段なら、誰から買うか。なぜその商品を売っているのか?
自己開示(オープンマインド)していくと相手も好きになってくれる。
だから顔出しをして、しっかりと伝えていくことが大切。
流行るお店の法則とは?
セールスポイントは「ヒト・モノ・ウツワ」のどれかでOK。
当たり前のことはセールスポイントにはならず、むしろバランスが悪いほうが個性的で、お客様の記憶に残る場合もあるそう。
例えば、掃除機でゴミを吸うのはマーケティングでいうとニーズを満たしているだけであり、電気代が安い、使いやすいなど、プラスアルファの機能がないとセールスポイントとは言えません。
そのため、モノでセールスポイントを創ることが難しい場合は、ヒト・ウツワで考えてみると良いそうです。
アンケートから流行る理由が見えてくる
「購入の決め手となるバイイングポイントは考える必要はなく、お客様アンケートからリピートする理由が簡単に見つかります」。
「印象に残ったことは何ですか?」とお客様に聞いてみると、思いもよらぬ返事が来ることがあります。
今や誰でもお店のレビューがネットで投稿できる時代。だからこそ、店頭でもお客様の生の声を聞いて、喜んでもらえるお店づくりをしないといけません。
実際にアンケートを行う場合の最適なタイミングは、物販ならお会計や袋詰めしているとき。
・何を見て当店を知りましたか?
・なぜうちを選んだのですか?
この2つをアンケートに入れると販売促進に使えます。
個性は極端なほうがいい!「ブランド」は尖らせる大原則
大きい、小さい。
数が多い、少ない。
日本一の◯◯◯。
など、セールスポイントは「極端」に考えることが大切。
たとえ、強いセールスポイントが見つからなかったとしても、ポイントを足し算してオンリーワンの強みを創ることも一つの手です。
流行るお店のプロモーション お客様の気持ちを動かす6つの要素
では、実際にプロモーションを行う際、「やるべきこと」とはどのようなことでしょうか?
必ず「ヒトケ」を入れる
流行っているお店のチラシには、必ず「ヒトケ」=人の気配がある。
例えばこの写真。商品だけの写真でも綺麗ですが、食べている人の笑顔があるだけで印象はガラッと変わって見えませんか?
誰に買って欲しいかを明確に
お悩み、お困りごともしくは欲求や願望など、どんな人に買って欲しいかが伝わる販促ツールにする。
キャッチコピーはセールスポイントorバイイングポイントを
キャッチコピーは、セールスポイントかバイイングポイントをそのまま用いると簡単。
オンリーワンなポイントまたはお客様の声を生かす。
短い方がインパクトがあり、ネットの場合は19文字以下で作ると検索されやすい。
どんな時に買えばいいかを明確に
場面が思い浮かぶようなボディコピーを書く。
どんな時に買うのか。その答えを書いてあげると誘導しやすく、これは店頭のP O Pとしても有効。
モノの機能ばかりを宣伝するなど売り手側からの発信だけでなく、こんな時・こんな人にいいですよ、こうなりますよという「シチュエーションからベネフィットの流れ(使ったらどうなるか、食べたらどうなるか)」をしっかり説明する。
お客様の声は必ず入れる
できれば3人以上、写真と一緒に紹介するのが望ましい。
ネットでモノを買う人はレビューを見る習慣がついているため、お客様の声がないと不安に。
次に起こして欲しいアクションを明確に
チラシやDMなどの広告を読んだ後の出口をつくる=お客様の来店のハードルを下げるために、アクションコピーが必要。
店舗ホームページや SNSのQRコードの隣に「まずはメールでご連絡ください」「インスタをチェックしてください」といった文言があるとアクションしやすくなる。
来店からお買い上げまでの流れを強化する
ここまではお店に来てもらうためのプロモーションでしたが、次は、実際に来店されたお客様に確実に購入いただくためのノウハウについて。
ファサードにこだわる!飲食店は入れたもの勝ち
表構えと看板に命をかける。お店の一番奥を明るくすれば入店される確率が上がる。
お店の顔は毎日変える、ディスプレイの大原則
商店街は毎日同じ人がお店の前を通るため、変化が求められる。売れるお店は毎日ディスプレイを変えている。
自然な流れでお店に導くゾーニングとレイアウト
商品で誘う、光で誘う、人で誘う。人は明るい場所に集まる。これは基本中の基本。
POPは機能と感情の両方で
売り手視点だけに偏らず、買い手視点も踏まえてベネフィットを正確に伝える。
レジ周りで考えておくこと
客単価アップの仕掛けとしてクロスセルを狙う場合は、レジ周りに関連商品を置いておくなど。
「この商品を買った人は、こんな商品を買っています」。
100年時代を見据えた商店街づくりとは?
人は基本的に3密が好き!
「コロナ禍で3密を避けなければならない時代ですが、商店街を嫌いな人ってあまりいないと思うんですね」と寺田氏。
便利に買い物ができる仕組み(インターネット)ができた今でもそれは変わらないことから、リアル店舗にしか出せないセールスポイントを魅せることが大切。
支払い方法の多様化に対応!
いろんな支払い方法ができることが選ばれる商店街のためになり、お客さんのためにもなる。
キャッシュレスの行き着く先は?
メジャーなポイントと連携するのが一番。地域通貨は、限定的なものでは難しい可能性が。
販売システムの多様化にも対応
店を構えるだけで売れる時代は終わった。個店で力が足りないなら商店街で動き、多様な売り方を考えるときにきている。
インターネットでのコミュニケーションの在り方
双方向のコミュニケーションが当たり前の時代。
インターネットでもチャットなど双方向のコミュニケーションが取れるところが売り上げ増加の傾向にある。
時代は変わっても商売の原点は同じ
最後に、寺田氏から参加者の皆さんにメッセージをいただきました。
商店街、リアルな店舗の良さは、人と人とのコミュニケーションにあります。例えばお辞儀。お客さんに対してお辞儀をしているのを他の人が見ることにも意味があり、これは印象作戦の一つでもあると寺田氏はいいます。
また、盛り塩も大切。
ちゃんと毎日手入れしているかどうかをお客さんは見ています。決まったことを毎日積み重ねていく、愚直に同じことを続けることが信用につながっていきます。
今日お話ししたことは、決して難しいことではありません。簡単なことをやるかやらないかで変わってくるので、今日お話ししたことを一つでも二つでも、ぜひやってみてください!
コロナ禍により、飲食店や商店は厳しい状況下に置かれていることと思います。
そんな今こそ、寺田さんにアドバイスいただいたことを実践し、何かを変えるきっかけにしてみませんか?
講師プロフィール
株式会社ベンチャーコンサルタント 代表取締役 寺田 勝紀(てらだ まさとし) 氏
デザイン事務所での経験を経て、26歳で起業。ショップアイデンティティーの確立をコンセプトに掲げ、空間、グラフィック、Webの3方向から「流行るお店創り」を提唱。24年間で300件以上の店舗プロデュースに携わる。
2005年よりコンサルティング活動を本格化し、経済産業省の起業支援プロジェクトなどにアドバイザーとして参加。また広告・マーケティング・起業・経営革新・事業計画の分野を中心に、セミナー・研修活動にも精力的。実践に基づいたわかりやすいセミナーは、全国各地の自治体や公的機関、大学、商工会議所などで好評を得ている。